悪童日記、読了。

読みました。というか昨晩に読み終えました。


昨日は、「一切の感情を切り捨てて読むべき物語」と言いましたが、ひょっとしたら、全く逆かもしれません。
全く感情の無いこのエクリチュールに、読者が各々色をつけて、裏に隠された感情の全てを読み取っていくべき物語、かもしれません。


なんと衝撃的な物語だったのだろう。


ここまで“情”を切り捨て、そこに起こった事実のみを簡潔に書き綴った文章など、この他にあるでしょうか。
動物を殺す時も、人間が死ぬ時も、またどんな場面を見た時も、そういうことが「あった」という事実のみで、「どう思った」かは一切書かれていない。
「ぼくら」の語り口調(「」の台詞)も、年齢は不明ですが異常なほど大人びていて、それもまた「無感情」ということを髣髴とさせて、良い意味で気味が悪かったです。
更に究極だったのは、「ぼくら」が2人別行動をとる時は、「ぼくらのうちの1人」と、互いを別のものとして見ない考えが、恐ろしく、また美しくもありました。


最終的には、「ぼくら」以外のほぼ全ての登場人物が死んでいくわけですが、それに関しても全く感情を表さない。両親だろうが、ともだちだろうが。


…これは名作だ。がっつりハマってしまった。
次回作も彼女から借りる予定。これは面白いぞ…。